1.DXYSIプローブを用いた日本人における多型の解析 神経筋疾患をもたない日本人男女14名の末梢血白血球よりDNAを分離した。これを制限酵素TaqIで処理した後、アガロースゲル電気泳動しサザン法で予めアイソトープで標識したプローブDXYSIとハイブリダイズした。その結果、男性では14.6kbのバンドが共通して認められ、くわえて10.6kbまたは11.8kbのバンドが観察された。一方女性では11.8kbまたは10.6kbと11.8kbの両者が認められた。男性では10.6kbのバントを有する者と11.8kbを示す者の比は5:3であった。一本のバントを示す女性をホモ、二本のバンドの者をヘテロと呼ぶと、女性のホモとヘテロの比は1:1となった。日本人で得たこの結果は欧米人の同様の研究の成績とほぼ一致し、14.6kbの断片は男性のみに見られY染色体に由来、10.6kbと10.8kbの断片はX染色体に由来し、多型を示すと考えられた。従ってDXYSIをプローブとしてTaqI digestionと組み合わせて行う遺伝子解析は、欧米人と同様日本人でも有用と思われた。 2.DXYSIプローブによる球脊髄性筋萎縮症の家系分析 上記と同様の方法で慢性脊髄性筋萎縮症、特にその中でもX染色体性劣性遺伝を示す球脊髄性筋萎縮症(Kennedy-Alter-Sung症候群)の2家系について現在遺伝子解析を進めている。少なくとも一部で疾患の発現とX染色体由来のDXYSIプローブで検知されるRFLP(restriction fragment length polymorphism)の発現が一致する例が見られている。 3.パルスフィールド電気泳動法による巨大DNAの解析 アガロースに包埋した状態でDNAの精製と制限酵素(SfiI、XhoIなど)により処理を行い電気泳動した。現在正常人白血球で行っている。
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