研究課題/領域番号 |
62570378
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
金澤 知博 秋田大学, 医学部, 教授 (90004762)
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研究分担者 |
田近 武彦 秋田大学, 医学部, 助手 (80171718)
松岡 一志 秋田大学, 医学部, 講師 (60181707)
小林 政雄 秋田大学, 医学部, 助手 (70178333)
三浦 傳 秋田大学, 医学部, 助教授 (10006710)
池田 成昭 秋田大学, 医学部, 講師 (40125703)
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キーワード | プロカイン冠動脈注入 / 局所心筋壁運動異常 / 前負荷・後負荷 / 収縮@拡張期冠血流比 / 心筋酸素消費量 / luxury perfusion / 心筋収縮・酸素代謝解離 / stunned myocardium |
研究概要 |
本年度はプロカイン冠動脈注入によって生じる局所壁運動異常部位の冠循環および心筋酸素代謝の検討をおこなった。 〔方法〕イヌを用い頚動脈-左前下行枝バイパスにプロカインを注入し、局所壁運動異常を作製し、左前下行枝血流および動脈と前室間静脈血の採血によくバイパス潅流域の局所心筋酸素消費量を検討、さらに、前負荷、後負荷を加え、同様の検討をおこなった。 〔結果と考案〕プロカイン注入前後で前負荷、後負荷を加えた12頭における諸量の変化は以下の如くである。バイパス潅流域の局所心筋短縮率はプロカイン注入前18.4±2.1%から注入後0.6±3.7%と著名に低下し、前負荷、後負荷によりさらに低下し負の値を呈した。 冠血流はプロカイン注入により増加し、その血流パタ-ンは収縮期優位となった。このことは収縮期/拡張期と局所心筋短縮率とが密な逆相関関係にあることより冠血管に対する心筋のsystolic compressionが低下したためとみなされた。 プロカイン注入後、局所心筋収縮性は低下したにもかかわらず、局所心筋酸素消費量は減少せず、プロカイン注入前とほぼ同等であった。前負荷、後負荷増加により、局所収縮異常は悪化したが局所心筋酸素消費量は増加し、局所壁動態と局所心筋酸素代謝の間に解離が認められた。以上の結果は、短時間冠塞再潅流後に心筋収縮機能の低下が遷延するstunned myocardiumにおける心筋酸素代謝と極めて類似している。本実験およびstunned myocardium時とも、心筋が必要とする以上の冠潅流があり、いわゆるluxury perfusionとなっており、これによって心筋収縮性と酸素代謝の解離が生じた可能性が示唆される。 〔結論〕プロカインを左前下行枝に注入することにより壁運動異常と収縮期冠血流増加をみるも同部位の心筋酸素代謝はほぼ不変であった。
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