研究概要 |
コンピュータ・グラフィックスを用いて, 体表面で記録される心臓電位を3次元のカラー立体画像として表現し, 任意の面から観察, 解析し得る方法, 装置を新しく開発した. まず従来に比べより安定した, より正確な基準(ゼロ)電位を作るために心電図記録装置の入力箱に32個のバッファアンプを設置し得られる電位を1点に結合して全平均電位を得た. そしてコンピュータ・ロジックに基づく体表面の32個所(体前面21個所, 後面11個所, ならびに前後面それぞれ16個所)から心電図を記録し, これをA/D変換部分を経て16ビット・パソコンを中心とするマツビングシステムに入力した. 次に4秒間取り込んだモニター上の心電図波形の中から任意の1波形(ターゲット心拍)を取り出し, この波形について既に全誘導で2msecごとにデジタル化された電位を用い左鎖骨中線と左第5助骨の交点レベルに赤道面を持ち, このレベルにおける左右中腋窩線間の胸壁に沿った長さを直径とする球形画像を作った. この際, その球形を経線方向に36等分, 緯線方向に20等分し, 球表面に720個の小区画を作り, 実測, ならびに線形補間法により得られた計算値に応じたカラーをペイントしたが, カラーベースとして赤>紫>白>水色>青>黒の6色と単位>白>ゼロとするこの順序で電位の大きさを示すことにした. さらに, またこの球表面を8等分し, 各1/8球面に1〜8までの面番号をつけ, 各1/8球面にある90個の小区画については1〜90までの番号を付した. これにより何面何番に異常があることと色分布についての統計的処理が可能となった. そしてこのような方法, 装置により20〜80歳代の正常55例について, Q波, R波, S波, J点, ST部分, T波などについて調べると, どの波でも基準となる正常のカラーパターンと統計的な色分布のあることが明らかとなった.
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