前年度に方法として開発されたコンピュータグラフィック心電図(CGECG)を用いた正常例から得られたデータを基礎として、今年度は各種病態、すなわち、右心室肥大、左心室肥大、虚血性心疾患(狭心症、心内膜梗塞、前壁心筋梗塞、下壁心筋梗塞)、伝導障害(不完全右脚ブロック、完全右脚ブロック、完全左脚ブロック、左前枝ブロック、WPW症候群)、不整脈(洞性不整脈、心室期外収縮、心房粗動、心房細動)、肥大性心筋症、ジギタリスなどについて調べた。この結果、それぞれの病態に病徴的ともいえる特異なカラーパターンと電位分布のあることが判明した。これにより従来のスカラー、あるいは、ベクトル心電図に比べ新たに開発されたCGECGには、 (1)心臓の出来現象は、もともと、3次元空間に展開されている現象であるから、CGECGによる立体表示によりこれをさらに本来の姿に近づいた形で見ることができる。 (2)トルソー表面に現れる心臓の電気現象は、大部分電気双極子の考えで理解できるので、立体表示により体表面心電図を正負の対応において見ることができる。 (3)臨床的に重要な部分が中央で拡大表示されるので、視覚的に直ちに異常が発見される。 (4)右脚系と左脚系、ならびに、右心と左心の興奮をそれぞれの半球にほぼ分離して表示できる。 (5)T波の変化を図形としてわかりやすく表示できる。 という利点があることが判明したので、今後の広い臨床応用が期待される。
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