研究概要 |
雑種成犬を用い右頚動脈から右房へ刺激用双極電極カテーテルを挿入し、巾1.0msec、間隔10msecで1秒間連続刺激を加えて、毎秒6個以上の心房性期外収縮でかつ2秒以上持続する最小の電流値を心房細動閾値(AFT)とし検討した。DbcーGMPの投与によりAFTはdose dependentに有意な低下を示した。即ちcontrolのAFT(6.0±0.7mA)に対してDbcーGMPを0.0675,0.125,0.25,0.5,1.0,2.0mg/kg投与した時のAFTはそれぞれ5.3±0.7,4.6±0.7,4.0±0.7,3.8±0.6,3.2±0.6,3.2±0.6mAと低下し、DbcーGMPの投与により心房細動が生じ易くなることが示された。即ち、心房筋内のcーGMPが増加するほど、より心房のvulnerabilityが高まることが示唆された。 次いで、ANPとcーGMPとの関係を調べる目的で、イヌ摘出冠動脈に対するANPの血管弛緩作用を、冠血管条片におけるcーGMP値の変動とともに比較検討した。hANPを10^<-9>、10^<-8>および10^<-7>M投与した時のcーGMP値は6.0±0.1,7.6±0.3および17.9±1.4pmol/gw.w.を示した。冠動脈の弛緩率と冠血管条片のcーGMP値増加の関係を検討したところ、hANPの投与によりr=0.88と極めて高い正相関関係を認めた。弛緩率とcーGMP値の変動関係については、guanylate cyclase阻害薬(M&B22、948)およびcーGMP phosphodiest erase阻害薬(MB)を投与して検討したが、弛緩率は、cーGMP値の増加により増加、cーGMP値の減少により減少した。さらに、冠動脈の弛緩にはcーGMPの増加が先行していた。以上、hANPはcーGMPを増加させることで冠動脈を弛緩させることが示された。
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