研究概要 |
1.細胞外電位による心室局所脱分極, 再分極時点の判定 家兎Langendorff 灌流心の房室結節下部を結紮して人工的に房室ブロックを作成し, His束上に置いた近接双極電極に電気刺激を加えて心室を駆動した. 右室自由壁を切開し, 中隔面からガラス微小電極を用いて膜活動電位波形を記録するとともに, 不関電極を関電極の近傍に置いた単極誘導法(極間距離1mmのmodified bipolar electrode,MBE)を用いて細胞外電位を記録した. この細胞外電位波形のQ波は膜活動電位波形の立ち上り相と, T波の頂点(aT)は活動電位の再分極終了時点と良く一致しており(相関係数, 0.98), MBEの細胞外電位波形から, 心室各部の脱分極と再分極を判定することが可能であることが判明した. 2.抗不整脈薬による心室再分極過程の変化 家兎灌流心の心室後面20〜30点から1HzのHis束刺激下でMBEを記録し, 波形をPCM方式のデータ収録装置(NF, RP-880)を介してビデオテープレコーダー(National AG-6300)に入力し解析した. 心電図QT時間を延長させる抗不整脈薬(bebridil,quinidine)を投与すると, 心室後面各部のQ-aT間隔が延長するとともに, Q-aTの空間的不均一性(△Q-aT)が増加した. 高濃度の薬物作用下では△Q-aTの増加に興奮伝幡の遅延が加わり, 心室各部における再分極終了時点の不均一性(△RT)が著しく増大した. この△RTの増大が, これらの薬物の重大な副作用であるリエントリー不整脈発生の主な原因であることが示唆された.
|