研究課題/領域番号 |
62570392
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀 正二 大阪大学, 医学部, 助手 (20124779)
|
研究分担者 |
上松 正朗 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
石原 謙 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20304610)
大西 俊造 大阪大学, 医療技術短期大学部, 教授 (00028367)
井上 通敏 大阪大学, 医学部附属病院, 教授 (30028401)
|
キーワード | 慢性心不全 / 交感神経活性 / カテコラミン / β交感神経受容体 / down-regulation / 遷延性心筋虚血 |
研究概要 |
心不全はその予後が重篤であるため、治療法・予防法の確立が急務であるが、そのためには心不全の発症機序を明らかにする必要がある。心不全の前段階と考えられる肥大心では、交感神経活制亢進・β受容体増加が、また重症心不全に於てはβ受容体減少が報告されている。従って、このβ受容体数の変動が、心筋不全の発症機作解明に重要な役割を果すと考えられる。そこで本研究では、2種のびまん性持続性心筋虚血モデル((1)直径15μmの微小塞栓子の冠動脈内注入による壊死を認めない慢性心不全モデル、(2)直径25μmの微小塞栓子による散在性びまん性微小心筋壊死モデル)を用いて、心筋カテコラミン、β受容体変動と心機能との関係を検討した。 犬冠動脈内に15μmの微小塞栓子を注入し、左室圧トランスデューサ、大動脈圧測定及び静注用カニューレを挿入し、回復させた。24時間及び7日後心血行動態を測定したところ、24時間後には、収縮・弛緩特性が7日後には弛緩特性のみ障害され、心収縮特性は回復していた。この時イソプロテレノールに反応性は対照時と同程度保たれていたが、フォルスコリン(アデニレートシクラーゼ活性化剤)に対する反応性は低下しており、この時、心筋ノルエピネフリンの涸渇・β受容体数増加を認めたことから、β受容体を介する情報伝達系は障害されているが、この障害がβ受容体数増加により代償されている可能性が示された。そこで、このβ受容体数増加の意義を検討するため、慢性期にイソプロテレノールの24時間注入、pacingによる心拍数増加の持続により、β受容体数のdown-regulationを生じさせたところ、心不全が顕存化した。25μmの微小塞栓子塞栓でも類似の病態が観察されたことから、遷延性虚血およびその回復過程で認められる心不全では、β受容体数の増減が潜在化・顕在化を規定していることが明らかになった。
|