研究概要 |
われわれの開発した心房性Na利尿ホルモン(ANP)の高感度直接測定法を用いて, 心, 腎疾患患者の血中及尿中ANP濃度を測定し, またANPの存在様式をゲル濾過にて検討した. 更にANP存在様式を逆相HPLCにて決定しうる方法を考案した. 他の施設のANP測定法ではほとんど不可能なものに, この尿ANP含量の測定法の他に髄液の測定法がある. この方法を用いて髄液中のANP含量とANP存在様式を測定し, 心房由来と中枢神経由来のANPの相異を示そうとした. 研究の成果は発表論文の項に示す如くで多大の成果を得ている. まず, 体液量の極端な増減で血中, 尿中ANPを測定し, ANP分泌は体液量に著しく依存することをみた(kurosawa et al 1988, Sakumoto and Marumo in press). 病態では, 腎疾患の非透析例では血中では血中ANPが変らないこと, FE ANPがCcrの低下と共に上昇することをみ(Marumo et al)心疾患の血中ANPの存在様式はβ-ANPが特徴的であることを示したし(Marumo et al). イヌ髄液ANPを測定し, 負荷を加えて血中内因性および外因性ANPを著しく増加させても髄液中ANPの変化はなく, かつANPは血液・髄液関門を通過せず, 心房由来と中枢由来のANPは独立に分泌調節されていることを示した(Masuda et al in press, Marumo et al in press). 正常および病態での尿ANP濃度とANP存在様式を明らかにし蓄尿中の1日ANP排泄量を測定することは病態の追跡, とくに心疾患関改善の追跡に有用であることを示した(Ando et al). 現在, 腎疾患, 心疾患での血中, 尿中ANPの存在様式を逆相HPLCを用いて検討し, ANP存在様式の病態での意義について明らかにしつつありその一部は投稿準備中である.
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