研究課題/領域番号 |
62570408
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
山本 仁 国立循環器病センター, 研究所循環動態機能部, 室長 (80109008)
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研究分担者 |
中井 正継 国立循環器病センター, 研究所循環動態機能部, 室長 (90150226)
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キーワード | SHR / WKY / ストレプトゾトシン糖尿病 / 振動ストレス / アルコール / 高食塩 / F1 / 心肥大 |
研究概要 |
今年度は遺伝的高血圧での環境因子の関与を更に検討するため、自然発症高血圧ラット(SHR)とその対照正常血圧ラット(WKY)及びその交雑によるF1を用いて、環境因子の中の幾つかの慢性負荷の心血行動態、ホルモン、致死率等に及ぼす影響を観察し、降圧剤治療のストレス循環ホルモン反応への効果についても検索した。糖尿病併発はSHRでのみ斃死を引き起し、高血圧が糖尿病と合併するとより重症となることが示された。重症糖尿病はSHRで冠動脈の血流予備を減少せしめ、冠動脈のリスクを高める可能性を示した。また中等度であれ糖尿病が併発すると長期的には収縮期の特にストレス負荷時の心機能を低下せしめ、より大きなリスクをもたらすことが明らかにされた。この観察は臨床的にも重要な意義をもち、高血圧患者に糖尿病の合併がある場合、強力な治療の適応となることを示している。振動ストレスやアルコール摂取、高食塩食など単独で慢性的に負荷すると、SHR群でのみ振動ストレスにより血圧が更に増加し、これと高食塩食の組み合せではSHRでsynergisticな効果が見られた。F1では血圧値と心肥大の程度は両親の中間値に相当し、このF1ラットを用いて各種の環境ストレスを長期間負荷したところ、振動ストレスに対しては両親の中間の血圧増加反応、アルコールにたいしてはむしろ無反応、高食塩食に対しては低反応を示した。なお興味あることにF2、F3を作成して血圧と心肥大の相関をみるとある群で血圧は正常にもかかわらず心肥大が発生することが認められ、SHRの心肥大の機構につき示唆が得られた。ジルチアゼムやβ遮断剤の長期治療はSHRで降圧と心肥大退縮を来し、SHRでより大きな基礎時とストレス時の血行動態抑制効果を示した。これらの薬物治療による抗ストレス効果は主に基礎時の血行動態の抑制を介して発現することが示された。
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