ラット肝ミクロゾ-ム膜においてグルコ-ス-6-リン酸(G6P)輸送系と対をなして存在していると考えられているりん酸の輸送系の存在を明らかにするとともに、その質的な解析を行なうためにピロリン酸PPiの取り込みに関する実験を行なった。 G6P輸送系の解析の方法と同様に40mMカュジレート緩衝液(PH6.0)、肝ミクロゾーム分画200μgと1mMPPiを0.5μci^<32>P-PPiをトレーサーとして230℃で0〜5分間インキュベート(final volume0.5ml)した。反応停止は反応液に氷冷した20倍量の0.25M蔗糖に50mMTris-cl Butter(pH7.5)25mMKclを含む液を注入して行なった后、直ちにガラスメンブランフィルター(whatman GF/F)上にミクロゾーム分画を集め、5mlの上記溶液で2回洗浄した。このフィルターを風乾後、液体シンチレーションカンウターで放射活性の測定を行なった。この方法ではG6Pの場合と異なり、フィルター上にミクロゾーム分画を除いた反応液を注いだだけでも高い放射活性となり、ミクロゾーム分画への取り込みが測定出来なかった。そこで洗浄の条件、洗浄液等を種々検討した結果、フィルターを50mM程度のPPiを含む反応停止液にひたしてから使用することにより、フィルターへの^<32>P・の吸着量はかなりの程度減少した。しかし、ミクロゾームへの取り込みについては、蛋白量、基質濃度、温度条件等について種々検討したが、いまだ明らかなPPiの取り込みを示唆する結果は得られていない。糖原病Ib患者の肝ではPPi phospho hydrolose 活性にミクロゾーム膜破壊及び未破壊で差のあること、又PPiの輸送系の欠損によると考えられるIcの存在の報告、さらに直接取り込みを明らかにした等の報告がみられているが、現在まで我々の実験からは直接的な結果は得られていない。方法論をさらに検討するとともにIc型の発見につとめ、さらに検討したい。
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