研究課題/領域番号 |
62570416
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
岡田 敏夫 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (70018365)
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研究分担者 |
稲場 進 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (10159949)
鈴木 好文 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (90086546)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 学校検尿 / 低分子量蛋白尿 / 近位尿細管性機能異常症 |
研究概要 |
小児期特発性近位尿細管性機能異常症は、蛋白尿を主訴として学校検尿などにて発見される症例であるが、一般に無症状に経過し、かつ蛋白尿のみが唯一の症状であるため、放置されている症例が多い。現在その病因、病態は明らかでなく、慢性の経過をとり腎不全への移行も考えられる疾患と思われる。1984年、われわれが最初に報告して以来、自験例(7例)と、村上らの全国集計による確認例(28例)が現在まで報告されている。現在までの研究では、本疾患は以下のごとき特徴的な臨床像を呈することが判明した。 1.比較的少量の蛋白尿を示し、かつ血尿を伴うことは少ない。 2.男子に圧倒的に多く、兄弟例も認められるが、ときに女児例も散見される。 3.小児期では発育障害は認められず、また腎機能も正常であり、かつ腎形態異常もない。 4.尿蛋白分析像がきわめて特徴的であり、これにて診断はほぼ可能である。 1)アルブミンが少ない。 2)尿中β_2ミクログロブリンの著増と、リゾチームの著増を示す。 3)尿中蛋白のセルローズアセテート膜電気泳動法で、αーグロブリン分画がきわめて高い。 4)SDSーPAGEでは、分子量4万以下の分画がきわめて多い。 5)腎組織像にて微少変化型を示すものが大部分であるが、一部に巣状硬化像を示す症例もみられる。 現在まで、最長20年にわたる症例の予後調査にて一部に、低燐血症、全汎性アミノ酸尿、糖尿が認められる症例もあるが、腎機能は正常であり、普通生活を送っている。今後さらに本疾患の病態、予後、遺伝関係につき、さらに検討を加える必要がある。
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