研究概要 |
肥満細胞は存在部位により組織肥満細胞(CTMC), 粘膜肥満細胞(MMC)に大別されるが, 両者は細胞の大きさ, プロテオグリカンの種類, ヒスタミン含量など種々の点で異なっている. マウス骨髄, 脾細胞をIL3存在下で培養するとIL3の濃度依存性に肥満細胞コロニーが形成され, これは肥満細胞前駆細胞CFU-Mastに由来することが明らかとなった. さらに, 処理脾細胞より 存在下で形成される芽球コロニーよりマイクロマニプレーターを用いた単細胞培養すると, 肥満細胞コロニー, 肥満細胞を含む混合コロニーが形成され, これらコロニーに含まれる肥満細胞はいずれもMMCの性質を有していた. 即ち, 造血幹細胞からIL3により誘導される肥満細胞はMMCの性質を有すると考えられる. 一方, マウス腹腔肥満細胞よりCTMCコロニーの形成はIL3のみでは起こらずIL3とIL4の両者が必要であることが判明した. IL3は25UのIL4存在下で濃度依存性にCTMCコロニーを増加させ, IL4もIL350 存在下で濃度依存性にCTMCコロニーを増加させた. CTMCコロニーは取り出し, 2分し, 構成細胞の染色性および種々の条件下への植元換元実験を行うと, コロニー構成細胞の一部にMMCの性質を有する細胞が出現し, 植元換元を重ねる毎にIL4非依存性のクローンが出現した. IL3, IL4両者に依存性のある細胞株IC2を用いてIL4のシグナル伝達機構について検討中であるが, IL4は細胞内Ca^<2+>濃度やプロテインキナーゼCの活性化に関与していないようである. 一方, プロテインキナーゼCの直接的な活性化物質であるTPAがCTMCの増殖に対しIL4と全く同じ作用を持つことが明らかとなり, IL4とTPAの両者のCTMCにおけるシグナル伝達機構の詳細について検討中である.
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