1.本年は、Cytosine Arabinoside(Ara-C)とl-Asparaginase(l-Asp)の相乗効果の生化学的背景につき、人白血病由来の培養細胞を用いて検討した。 2.まず、l-Aspの毒性のメカニズムを考える為、l-Asp耐性細胞をU937cellを用いて作成した。その結果、l-Aspの耐性度に比例して、アスパラギン合成酵素が上昇していることを見い出した。種々の白血病由来の細胞株を利用した実験も併せて、l-Asp感受性の主要な決定因子として、アスパラギン合成酵素活性が考えられた。更に、l-Asp耐性株を、l-Asp非添加の状態で、数ヶ月培養しても耐性は維持されることより、アスパラギン合成酵素の上昇を通じて獲得したl-Aspは、比較的安定なPhenotypeであることが判明した。 3.次いで、l-Asp感受性及び耐性株を用いて、l-Aspの前処理がAra-C代謝に与える影響を検討した。両細胞に於て、l-Asp(10/ml)の1〜4時間の前処理は、Ara-CTPの産生/Ara-CのDNAへの取り込みに全く、有意の効果を持たなかった。又、この事実は、細胞毒性の検討でも支持された。 4.今後異なった細胞系や、Ara-Cの代謝に於る他のパラメーターを測定して検討することが必要である。
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