研究概要 |
麻疹, 風疹, おたふくかぜ三種混合生ワクチン接種前後の血清抗体価について 我が国において, 麻疹, 風疹, おたふくかぜ三種混合生ワクチン(MMR)の歴史は長く, 昭和49年に最初の野外接種試験が行われている. 昭和55年および, 昭和56年に予研の指導により, 統一株MMRの野外接種試験が行われ, 昭和61年には, ふたたび統一株の実用化に向けての野外接種試験が予研を中心に行われた. これらの接種試験は, すべて, 1回法で行われたが, 既にMMR接種を実施している欧米諸国では, 2回法を採用しているところもある. 本年度の研究においては, 昭和62年度の東海大学病院小児科予防接種外来を受診した小児について, 統一株MMRの接種回数に関する検討を行った. 麻疹ワクチンについては, 1回接種で100%の陽転率が得られ, 風疹ワクチンについても1回接種で100%の陽転率が得られた. 6週間後に行った追加接種の抗体価でブースター効果が得られたのは, 麻疹では, 41例中4例, 風疹では, 42例中2例であった. ムンプスワクチンについては, 1回法ではその効果が十分ではなく, 44例中1回で中和抗体陽転したのは, 44例中37例だけであった. 1回にて陽転しなかった7例中6例において, 2回接種後に陽転した. 1回接種後と2回接種後の血清ムンプス中和抗体価とELSA単位とを比較したところ, 感度および測定の再現性に関して, ELISA法の方が優れていた. 以上の結果から, 2回接種を行えば, MMRの三種すべてについて確実に免疫を付与することができると結論した. また, 2回接種を行ったことによって副作用が増強することはなかった. ELISA法は予防接種の効果判定法として優れていると結論した.
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