研究概要 |
家兎で心臓が収縮を始めるのは胎生8日で, 解剖学的形態が感性さ るのは胎生16日である. 本研究では胎生16日, 14日, 10日の胎仔家兎を用いた. 1)実験装置のセットアップ:微小な心臓を摘出し, 酸素化したクレブス液に浸し, 張力トランスジューサーにつなぎ心機能を測定するシステムを確立した. また心臓の動きをカメラで観察し記録するシステムも確立した. これらの装置により微小な心臓の収縮機能が測定できるようになった. 2)実験方法の開発:本研究の実験の一方法として, 心臓から心筋細胞を遊離させ, その単離細胞を用いて実験を行うことを試みた. そのためには収縮機能を維持したintact な細胞を採取する方法を開発する必要があった. このことは必ずしも容易でなかったが, 試行錯誤の末, 各年令群から単離心筋細胞がとれるようになった. 3)実験結果: i)灌流液のカルシウム濃度をかえたり, 小胞体阻害剤であるリアノジンを用いたりして実験を行ったが, 発生初期の新造の収縮は細胞外液のカルシウム流入に依存し, 細胞内器官からのカルシウム放出は有意でないことがわかった. ii)心筋の微細構造上, 発生初期には筋原線維がほとんどなく, ミトコンドリア, 小胞体も未発達であることがわかった. iii)収縮蛋白に関しては, 発生初期にはミオシンアイソガイムはV3タイプがほとんどであることが分った.
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