胎生期心臓の収縮機構に関して以下のことが明らかになった。 1) 胎生期心臓の機能:早期胎仔ほど心臓の発生する力の絶対値は小さい。これは心臓の大きさが小さいので当然であるが、単位心筋に換算してもなお発生する力は小さい。これは主に単位心筋に存在する収縮努力が少ないことによる。 早期胎仔ほどカルシウム拮抗剤になる収縮力低下の効果が大きい。これは早期胎仔ほどその収縮が外部から流入するカルシウムに依存しているからである。逆に筋小胞体からのCa放出を阻害するリアノジンを加えると、その作用は早期胎仔ではみられなかった。このことは早期胎仔では小胞様は有意に心収縮に関与してないことを示す。 2) 心筋微細構造:電顕で観察した心筋微細構造は、早期胎仔では筋小胞体の発達は悪く、筋原線維は不整で量も少ないことが分った。 3) 収縮蛋白:早期胎仔ほβタイプ (ATPase活性が低い) のミオシンが多くなっていた。 4) カルシウム感受性色素fara-2によるCa濃度測定:早期胎仔では細胞内カルシウム濃度が相対的に高くなっている結果を得た。これは細胞内Ca濃度調節機構の発達が悪いことに起用すると考えられる。 以上、心筋収縮機構の発達に関して種々の手法を用いて検索を行った。
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