研究課題/領域番号 |
62570443
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
西畠 信 東京女子医大, 医学部, 助手 (90192252)
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研究分担者 |
富田 幸子 東京女子医大, 医学部, 助手 (10159171)
池田 和男 東京女子医大, 医学部, 助手 (10168122)
富田 斉 東京女子医大, 医学部, 助手 (90201657)
中沢 誠 東京女子医大, 医学部, 助教授 (10075567)
高尾 篤良 東京女子医大, 医学部, 教授 (70075167)
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キーワード | 胎生期血流パターン / 高速度ビデオ撮影装置 / 層流 / ラセン血流 / 胎生期心収縮パターン |
研究概要 |
胎生初期の血行動態と心形態形成の関係を明らかにするために、研究の初年度は、鶏胚の初期に卵黄静脈からメチレン青溶液を注入して、心内の血流パターンを35mmカラースライドフィルムに記録した。その結果、心内、特に心流出路に於ては、血流方向に時計回りのラセンを描く多数の層流の存在を指摘しえた。その後、高速度ビデオ撮影装置の利用が可能となり、これを用いて、より動的な胎生期心収縮、心機能、及び血流パターンの分析を行なった。まず、血流パターンの分析については、前年度の微小血管造影法を同様の時期に鶏胚に施行し、高速度ビデオ装置で記録し、一部は80frame/秒の16mmシネフィルムにも記録した。その結果、35mmカラースライドよりも少量の色素液で、より動的で正確な血流パターンを把握しえた。初期鶏胚の血流パターンは、初年度に得られた結果同様、Stage15からゆるやかな時計方向のラセンを描く層流として認められ、発達に伴なってよりラセンの回転を増していた。ラセン血流は多数の層流の総合として認められ、従来言われていたような、中隔形成以前からの右心系と左心系の2大血流にはなっていなかった。又、高速度ビデオ装置を用いることにより、これまで未知であった弁と中隔形成以前の心で拍動流が生み出される機序を知りえた。つまり、Stage15では、心房から始まり、総動脈幹に達する蠕動態の収縮であり、心の発達に従って、心室内の肉柱が発達して、将来の房室弁と半月弁の部分が隆起の開閉として認められるようになった。房室弁部は比較的早期に限局してきたが、半月弁領域は、総動脈幹全体の近位から遠位に向かう能動的な収縮によって血液の逆流を防止し、且つ拍動流を加速していると考えられた。心内の血流については、20MHzのドプラー流速計を併用して確認した。又、ビデオ装置は、各種の卵生の条件の変化に対する心容積変化の指標として用いられることがわかった。
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