研究概要 |
本研究課題に関して2つの方向より研究を進めた. 1.マルファン症候群患者にコラーゲン分子の構造異常がアるかどうか. (1)DNAの分析にさきだち, コンパク質レベルでの検討を行った. すなわち19例のマルファン症候群患者の皮層線維芽細胞を^3Hプロリンで標識し, 新たに生合成されたI型, III型コラーゲンを電気泳動法により分析した. その結果, 検索した19例において電気泳動的にはI型, III型コラーゲンに異常は認められなかった. (2)次にマルファン症候群患者7例についてDNAを制限酸素MspIで消化し, I型コラーゲンのproα2(I)鎖のgenomicクローンで検索したが, 現在のところ遺伝子異常は認められていない. 2.マルファン症候群の発症がコラーゲン遺伝子と相関しているかどうか. I型コラーゲンのproα2(I)鎖内にあるDNA多型(RFLP)をマーカーとして検索を行った. (1)患者の検索をおこなう前に正常な日本人の各プローブによるalbelicfrequencyを検索したところ, MSPIRFLPでMspIsite陽性のalbelicfrequencyは83%,EcoRIRFLPでEcoRIsite陽性のallelicfrequencyは69%であった. アメリカ人を対象とした検索においてはMspIsite陽性は86%,EcoRIsite陽性は38%で,EcoRIsite陽性のallelicfrequencyが日本人とアメリカ人とでは著しく異なっていることがわかった. (2)次に家族内発症しているマルファン症候群3家系についてI型コラーゲン遺伝子内におけるDNA多型をマーカーとして相関性を検索したが, 2家系においては相関性が否定され, 1家系はこのマーカーでは相関性を検索できないことがわかった.
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