本研究の初めに行なった表皮メラノサイトの三次元画像解析法では、生検で得られた皮膚片を通常のDOPA反応後、グルタ-ル固定、脱水し、エポン樹脂に包理した。この包理材料をブロックトリミング装置を利用してトリミングし、電顕用超ミクロト-ムとダイヤモンドナイフで厚さ1μmの連続切片を作製し、トルイジンブル-で染色した。DOPA反応で薄茶色に陽性のメラノサイトが同定され、その連続する二次元像からCosmozone 2Sプログラムによる三次元画像解析装置で、細胞の立体像を構築し、胞体や核の体積を計測し、さらに表皮基底細胞のそれらと比較した。しかしながら、この方法では、DOPA反応でメラノサイトを同定できても、その樹枝状突起などをほとんど描出することができず、また、DOPA反応がきわめて弱い場合にはランゲルハンス細胞などの他の細胞との区別が不可能であった。 そこで、メラノサイトを濃く染色することができるDOPA-Premelnosome反応を応用しエポン包理材料を作製したところ、連続切片中により明瞭に表皮メラノサイトの形態を把握することができた。さらに、三次元画像解析のプログラムが改良されCosmozone 2SAとなり、構築された立体像の形態、色彩が著名に改善された。球状の胞体で、上方や側方に樹枝状突起を伸長する表皮メラノサイトとラグビ-ボ-ル状の細胞形を示す基底細胞が描出された。一方、立体計測においても、メラノサイトの形態が明瞭化した結果、上記のデ-タと異なり、メラノサイトの細胞質体積は基底細胞のそれに比べてむしろ大きく、核体積はその逆であることが判明した。
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