研究概要 |
[目的]インターロイキン1(IL-1)は無刺激正常表皮内で産生含有されている. しかも他臓器の200〜900倍の大量のIL-1が含まれている. この大量のIL-1のin Vivoにおける役割および皮膚疾患との関連を知ることを目的とした. 今年度はまずマウスを使用し正常皮膚と接触性皮膚炎を材料としIL-1を検討した. [材料と方法](1)CH_3/Henマウスの腹部にDNFBまたはOxazolinを塗り, 2日後に再塗布, さらに4日後に耳介と背部に塗布した. 耳介の皮膚腫脹を測定して接触性皮膚炎の成立を確認の上, 背部の皮膚を24時間後に採取した. 採取した皮膚より表皮を剥離し, homoge-nizeし, 細胞内容を押出してIL-1活性測定用のサンプルとした. IL-1活性の測定はC_3H/HeJマウス胸腺細胞+PHAの培養系で, DNA合成の増強効果を指標として行った. (2)CH_3/HeNマウス表皮を用い, 表皮内のIL-1のmRNAの局在を知る目的で35SをラベルしたCRNAプローベを用いてin situハイブリダイゼーション法を行った. CRNAの作成はIL-1αとβのCDNAをT_3およびTクブロモーターを含むT13プラスミドに挿入しartisense側だけの35SラベルCRNAをプロモーターに特異的なRNAポリメラーゼで作成した. 35SラベルCRNAとIL-1mRNAのハイブリダイズはオートラジオグラムにて観察した. [結果および考察](1)表皮内IL-1活性は約50,000Δcpmの活性を示したが, 正常皮膚と感作成立皮膚の間に有意の差がなかった. (2)正常無処置表皮ではIL-1βのmRNAが主として認められた. また表皮内のうち基底層に多々局在していた. (3)今度, 感作成立後経時的にIL-1活性を測定すると共に, IL-1のmRNAの局在も接触性皮膚炎成立後皮膚を経時的に採取して合わせて検討する予定である. IL-1mRNAの局在を知る方法が確立したことから, 今後, 種々の皮膚疾患の検索に応用可能と考える.
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