研究概要 |
肺腫瘍の他に腹部腫瘍についても動態画像解析に因子分析法を応用し, さらに腫瘍の代謝活性の画像化をも試みた. 肺並びに腹部腫瘍患者に対して^<18>FDGによる動態シンチグラフィーを行ない, ^<18>FDGの腫瘍への集積法, 体内動態の解析をおこなった. 対象は肺腫瘍10例, 腹部腫瘍5例である. サイクロトロンは日本製鋼性のベビーサイクロトロンを使用した. 撮像にはポジトロン専用コリーメーターを装着したLFOV型ガンマカメラを使用し, 撮像と同時に1フレーム15秒で240秒フレームScintipac2400にデータ収集した. 心, 肺, 肝, 腎, 腫瘍部分に関心領域を設定し^<18>FDGの減衰補正をしたtime activity curveを作成し, それぞれの半減期を算出した. コンピュータに収集したダイナミックデータを因子分析法にて解析をおこない, 因子分析画像を作成した. FDG動態画像からさらに集積率の画像表示を試みた. 上述の撮像データを10フレームにmultiple combineし, FDG集積率(倍加時間の逆数)の画像を作成した. この画像についてinterpolative background subtraction(以後IBSと略す)を行わないものと行ったものとを作成し, その画像を因子分析法の画像と比較検討した. 肺腫瘍についてのIBSなしの集積率像では腫瘍像の他に肺野分布像が描画されるが, IBS処理後の画像では肺野が除去され, 肺腫瘍像のみが描画される. 腹部腫瘍に対してIBS処理を加えると腫瘍外に因子分析像ではみられない分布像の多発がみられた. この主たる成因はartifactによるものと考えている. 結語:1.^<18>FDGを使用し, 腫瘍集積性及び動態画像解析を行った. 2.因子分析法は腫瘍辺縁を明確に描画し, 腫瘍の内部性状を把握する上にも有用である. 3.^<18>FDG集積率の画像化は腫瘍の代謝活性度の指標として有用と思われた.
|