研究概要 |
10数年にわたって蓄積された頭頸部領域腫瘍の症例を対象として小線源治療の線量解析を行なった. 研究方法はラジウム針を用いた小線源治療症例のエックス線フィルム(直交2方向)から座標を求めて, パソコン及び放射線治療プランニング・システムにより三次元的に線量分布図を作成する. 線源面を中心として10mmの厚さの立方体を設定し, この立方体を線源面に平行な面の断面積が治療面積と等しい範囲に限定してヒストグラムを得るようにした. また治療成績との関連は今年度は舌癌症例のみとしたが, それらの症例群は(1)小線源治療単独群, (2)小線源治療に外部照射を併用した例に大別される. 三次元的線量解析は小線源単独治療例(腔内照射追加を含む)についてのみ行なった. 現在までに得られた結果は, (1)臨床的には小線源単独による治療例では外部照射は併用例に比し, 著しく晩発性障害の頻度が少い. すなわち, 舌癌症例では小線源単独で潰瘍形成13%, 骨障害5%に比し, 外部照射併用例では潰瘍27%, 骨障害22%であり, 小線源単独が優れている. (2)三次元的線量分布解析はまだ途中の段階であるが, 小線源単独で制御を得られた症候群, 非制御および腔内照射追加により制御が得られた症候群, 潰瘍や組織壊死を伴う晩発性障害の症例群の3群間にはヒストグラムの形状に明らかな差がみられている. このような線量分布の形状の表面には数値による定量的評価に変換する必要があり, 線量・容積・ヒストグラムから定量的評価への基礎データを作製中である. 今後, ラジウムのみならず臨床的に線量分布に問題の多いラジウム線源にも適用し, その治療可能比の改善に資するべく準備を進めている. さらにこの研究を推進することで小線源の刺入時の時点で治療結果の予測がある程度, 判別できる可能性がある.
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