研究概要 |
研究実施計画 1.家兎VX2腫瘍を肝に移植, これに磁性粒子塞栓術を行い交番磁界の下での病巣部の選択的加温効果を検討する. 2.治療効果並びに非腫瘍部肝実質に及ぼす影響を検討する. 研究実績 1.継代移植している家兎大腿部VX2腫瘍の組織片を肝被膜下に移植し, 2〜3週後に同部に2〜3cm大の肝腫瘍をえた. この腫瘍に対して磁性粒子塞栓剤(ferropolysaccharide)を, 予め上腹部に作動させた磁力の下で肝動脈内に注入し磁性粒子塞栓術を行った. しかし家兎肝動脈は細く, 注入可能な磁性粒子量は1gであった. このため, 腫瘍を直接穿刺し内部に磁性粒子塞栓剤を注入し加温効果を高める方法を考案した. この方法を用い, 上記家兎肝腫瘍内に更に2gの磁性粒子を注入し, 9kWで加温を行った. この結果, 5分間で4°C, 10分間で5.5°C, 15分間で6.3°Cの良好な加温をえた. 一方対照として, 同時期に移植した肝VX2腫瘍に対し, ゼラチンスポンジ末による塞栓術の後同じ条件下で加温を行った. その結果, 腫瘍及び非腫瘍部での加温は全く認められなかった. 以上のことから, 本法による選択的深部加温効果が確認された. 2.先の実験後, 2群の肝を剔出し組織学的検索を行った. 良好な加温がえられた磁性体注入群では, ゼラチンスポンジ群に比し壊死や変性が広範囲にみられた. しかし非腫瘍部肝実質には両群とも明らかな変性や壊死はみられなかった.
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