研究課題/領域番号 |
62570473
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐古 正雄 神戸大学, 医学部付属病院, 助教授 (60030970)
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研究分担者 |
土師 守 神戸大学, 医学部付属病院, 助手 (10198707)
廣田 省三 神戸大学, 医学部, 助手 (20181216)
河野 通雄 神戸大学, 医学部, 教授 (60030938)
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キーワード | 肝癌 / 動脈塞栓術 / 動注療法 / 徐放効果 / 温熱療法 / 誘導加熱 / 多糖類溶液 / 磁性体 |
研究概要 |
1.留意磁性粒子量と加温効果の検討 家兎の肝に移植したV×2腫瘍(3×3cm)に動脈塞栓術を行い、更に腫瘍内の壊死空洞部へ針を刺入して磁性粒子懸濁液を注入後、15分間の誘導加熱(500KHz)を行って、加温効果と磁性粒子量の関係を検討した。 なを本実験では塞栓には手技上の点でゼラチン粉末とし、温度測定は腫瘍に刺入したエラスタ針を介して行った。 結果:腫瘍部の温度上昇は、磁性粒子1g注入例では平均2.5℃、2g注入例では平均5.0℃、また3g注入例では平均7.0℃であった。以上より腫瘍の体積が27cm^3あたりで、少なくとも2gの磁性粒子が必要である。また家兎5羽に対し、肝腫瘍から2cm離れた肝実質でも同時に温度測定を行った結果平均2.7℃で、腫瘍部の平均5.49に比べ明らかに低かった。 2.高分子多糖類溶液に溶解した抗癌剤の徐放性に関する検討 高分子多糖類溶液は分子量4万のデキストラン(14%)とカルボキシメチルセルローズナトリウム(2%)の粘稠な液体(PS)で、これにアドリアマイシン2mg/mlの割合で溶解させ用いた。実験は家兎大腿部に移植したV×2腫瘍を対象に、腫瘍側の総腸骨動脈より動注し、腫瘍を摘出後組織内の抗癌剤濃度を測定した。また同様に手技で行ったアドリマイシンの生理食塩水溶解液での値と比較し、PSの徐放効果につき検討した。 結果:動注後120分においてPS群は11.6μg/ml、生理食塩水群では3.9μg/mlと明らかな徐放性が確認された。 以上より、本法の切除不能肝癌に対する化学塞栓温熱療法への可能性が明らかにされた。
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