研究概要 |
デジタルテレビ断層撮影の適切な方法の開発を試みたが, X線管とI.I.とが逆方向直線運動を行う断層撮影装置が, デジタル処理が簡便に行えるので, 現段階では最も適切な装置であった. 毎秒30フレームのデジタル情報の取込みを, 1回の平行運動中に行うことができるようにした. 当初, 連続X線では毎秒1回の平行運動, パルスX線では4秒に1回の運動しかできなかったが, 装置の改良によってパルスX線でも1秒に1回の平行運動が可能なようにした. 歪み補正処理は等間隔に並んだ格子を持つphantomをあらかじめ撮像し, 各投影データをもとにそれぞれの位置における歪み補正テーブルを作成し, 画像構成時に補正を行うプログラムを開発した. このphantomを撮像すると, フィルム法による断層撮影, パルス曝射による撮像, 連続曝射による撮像の順に画像の劣化が認められた. 臨床的研究では胸部, 及び頭部の断層撮影に応用すると, 断層面では従来の直線断層撮影と殆ど変わらない情報を得ることができたが, 断層面から載面が離れるにつれて軽度の画像の劣化が認められた. しかし, 臨床的には殆ど差を観察することはできなかった. 一方, 血管造影における応用では動脈相においては血管の拍動があること, 及び血流が速いことなどのために, 比較的大きな3mm以上の血管では良好な血管断層像を得ることができたが, 直線運動方向の像の流れによってartifactが発生することがあり, 充分な診断能を上げることは困難であった. しかし, 毛細管相, 及び静脈相においては良好な画像が得られた. 静脈相の解析には従来の血管造影法と殆ど変わらない情報を得ることができた. 今後の研究の方向は, 動脈相における画質の向上であり, パルスX線で情報収集間隔を短縮していくことが重要と思われた.
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