研究概要 |
^<68>Ga肝スキャン剤を人に投与するに際しての諸条件のチェック完了後, 同スキャン剤の標識に要する時間を短縮するためにキット化を完成した. その標識操作に習熟するため, 低レベルのアイソトープを使用して標識操作を繰り返し練習した. その結果, 当初は20〜30分を要していた標識時間を10〜15分にまで短縮することが可能になった. 更に, ファントムを使用し, 投与量と検査時間の関係につき検討し, 1mCi以下でも十分撮像が可能であることを確認した. 同時に撮像のためのポジトロンカメラの至適撮像条件を知ることができた. また, ファントムを用いin vitroにおけるSOL検出能を調べた. 12mmまでの欠損像は, in vitroでは検出可能なことが分かった. 既に, 滅菌状態で標識できることも確認したので, この段階で我々は人に投与することに踏み切った. 第一例目は, 肝右葉S5〜S6にまたがる5cmの原発性肝癌例で, 副作用などは全く無く, シャープな輪郭の肝癌による欠損像を抽出することができた. 以後, 肝硬変肝癌合併例4例(腫瘍サイズ2.5cm〜5cm), 胆管癌1例(腫瘍径5cm)と, 特発性門脈圧亢進症1例の計7例に投与している. 全例比較のために^<99>mTc-フチン酸によるコンベンショナルスキャン, SPECT, X線CTが施行されている. 現在までの研究結果としては, 本スキャン剤によるPET像は, SPECT像と比較して明らかに実像をシャープに抽出し得ること, より小さなSOLの検出が可能であり, 少なくともin vivoで2.5cm径のものの検出が可能であることが分った. 作製した^<68>Ga-マイクロスフェアは細菌試験, 発熱性物質試験ともに陰性で, 副作用は全例全く見られず, 標識率は95%以上と非常に良好な結果を得ている. 今後, 症例を重ねることの他, PETイメージより臓器ボリュームを測定するためのファントム実験を予定している.
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