研究課題/領域番号 |
62570481
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小山 司 北海道大学, 医学部, 助教授 (10113557)
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研究分担者 |
松原 繁広 北海道大学, 医学部, 助手 (40142731)
山下 格 北海道大学, 医学部, 教授 (60000923)
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キーワード | リチウム / セロトニン / トリプトファン / 5-HT受容体 |
研究概要 |
リチウム慢性投与がセロトニン関連の神経伝達機構および生体機能に及ぼす影響について、以下の動物実験の知見が得られた。 1.臨床的なリチウム・トリプトファン併用療法を想定して、リチウム3週間投与のラットにトリプトファン25〜100mg/kgを投与、1時間後の脳内トリプトファン、5-HIAA含量を測定した。両者ともリチウム群で有意に増加し、トリプトファンの用量依存性を見出した。リチウム療法はトリプトファンの血中より脳内への取り込み過程を促進し、セロトニン生合成、放出過程を増強することが明らかとなった。 2.5-HT_2受容体感受性の高いFawn Hoodedラットにおいて、リチウム慢性投与は、5-MeODMTの体温上昇作用、Quipazine投与によるWet dog shdkesを増大させた。すなわちリチウムは5-HT_2受容体感受性を増強することが再度、確認された。 3.リチウムはin vitroで、5-HT_<1a>受容体に連関しているアデニールシワラーゼ(AC)系を阻害しない。 4.リチウム慢性投与は、セロトニン系以外では、ドパミン系の伝達機能も増強させるが、β受容体のdown regulation,desensitizationをひきおこす。 以上の所見から、リチウム投与は一方でトリプトファン脳内取り込みを促進して、前シナプス過程を増強し、他方で受容体感受性を増強することによって、5-HT_2受容体関連の生体機能を促進することが明らかとなった。すなわちリチウム・トリプトファン療法の基礎的根拠が確立されたといえる。今後、新たな研究計画のもとに、臨床研究に移行し、有効性、安全性について詳細な検討を続ける予定である。
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