研究課題/領域番号 |
62570489
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
三田 達雄 神戸大学, 医学部, 助手 (70127405)
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研究分担者 |
谷本 健士 神戸大学, 医学部付属病院, 助手 (40163638)
中井 久夫 神戸大学, 医学部, 教授 (50094389)
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キーワード | ヒト脳 / 精神分裂病 / フェンサイクリジン結合部位 / 興奮性アミノ酸受容体 |
研究概要 |
精神分裂病の神経伝達機構の異常を解明するため、分裂病者死後脳における神経伝達物質受容体の研究を行ってきたが、今年度は興奮性アミノ酸受容体の一種であるN-methyl-D-aspartate(NMDA)感受性グルタミ酸受容体について検索した。 興奮性アミノ酸であるグルタミン酸は中枢神経系に高濃度存在する興奮性神経伝達物質で、脳機能に大きな役割を担っている。NHDA受容体の非競合型拮抗薬であるphencyclidine(PCP)はヒトに分裂病様症状を発現させる。また、分裂病脳の前頭前野や海馬において^3H-カイニン酸結合と^3H-グルタミン酸結合が変化しているという知見がある。そこで、^3HーNー(lー〔2ーthienyl〕cyclo.hexyl)piperidine(^3H-TCP)を用いて、ヒト脳におけるPCP結合部位の特性を受容体結合実験により解析し、さらに慢性分裂病群と正常対照群の間でPCP結合部位を比較検討した。 1.ヒト死後脳における^3H-TCP結合の薬理学的特性を阻害実験を行うことにより検討した。^3H-TCP結合に対しNMDA受容体非競合型拮抗薬が高い親和性を示した。トリトン処置した大脳皮質膜標品を用いて、ヒト脳でも興奮性アミノ酸によりTCP結合量が増加することを確かめた。L-グルタミン酸によるTCP結合増強効果は、NMDA受容体競合型拮抗薬であるD-AP5で抑制され、グリシンにより亢進した。 2.TCP結合の脳内分布をみると、結合量は海馬でもっとも高く、次いで前頭葉皮質、尾状核、視床の順で、小脳でもっとも低い値を示した。慢性分裂病脳の海馬および前頭前野における特異的TCP結合は対照群と比較して有意差はなかった。
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