研究概要 |
本研究の目的は100歳以上の超高令老人の身体機能, 知的機能および人格機能を明らかにすることである. 対象は東京都に在住し, 1987年3月末で100歳以上となる老人222名のなかで精神科と心理士が本人と家族に面接し得た在宅者83名(男24名, 女59名)である. 一定の調査票に従い訪問による面接調査を施行した. 調査項目は, 家族状況を含む本人の背景, 既住症, 現在症と治療の有無, 日常生活動作機能, 行動障害, 精神症状, 介護の状況, 睡眠状態および知能障害の有無とその程度である. 知能障害の程度は臨床痴呆評価尺度を用い, 同時に長谷川式簡易痴呆スケールおよびMSQを施行した. 平均年令は100, 7歳で, 学歴は男性の37, 5%が大学卒であり, 女性では28, 8%が未就学であった. 既住症は全体の約78%に認められた. 現在の身体扶患は約53%にみられ, 最も多いものは眠症患(約25%)であった. 日常生活動作機能では, 約21%が寝たきりであり, 家の中では普通に動く以上の程度の老人は約40%であった. 約58%の老人では排泄機能はほぼ自立していた. また, 約52%約30%の老人にはそれぞれ著しい聴力と視力の障害を有していた. 行動障害は全体の約28%に認められた. 精神症状は全体の約86%にみられ, 〓〓〓を伴れない睡眠障害が最も多かった. 臨床痴呆評価尺度による痴呆の程度では, 約16%が正常, 約45%が疑いあるいは軽度, 約37%が中等度以上に痴呆を示した. 長谷川式簡易痴呆スケール, HSQおよび人格機能検査については分析可能な有効例が今年度のみでは少ないため次年度の調査結果をあわせて分析を加える予定である.
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