研究概要 |
甲状腺細胞の情報伝達機構を, 電気生理, PG, Ca^<2+>カルモデュリンから明らかにした. (1) 増殖因子EGF, 発癌物質TPAは甲状腺細胞の増殖を促し, 甲状腺細胞の分化を抑制することを明らかにした. 増殖と分化は相反する過程である. (2) 甲状腺細胞の増殖を促すEGF, TPAは細胞内Ca^<2+>を増加させることを明らかにした. このことは, 甲状腺細胞増殖の最初のシグナルはCa^<2+>であることを示している. (3) 甲状腺細胞の増殖を刺激するEGF, TPAはフォスファティディール・イノシトールを分解し, ITPを作る. このITPは細胞内Ca^<2+>を増加させる. このことは細胞内Ca^<2+>がどのようにして増加するかを明らかにした. (4) 甲状腺細胞の増殖を刺激するEGF, TPAはプロスタグランディンを増加させることを明らかにした. (1), (2), (3), (4)は甲状腺細胞増殖の情報伝達機構を明らかにものである. Ca^<2+>, ITP, PGが細胞増殖の最初のシグナルとして極めて重要な役割を果たしていることが明らかになった. 今後の発展が期待される. (5) H_2O_2産生は甲状腺ホルモン産生になくてはならないものであるが, そのH_2O_2産生の調節機構をも明らかにした. (6) 甲状腺細胞にアクチンがあることを明らかにした. このアクチンは甲状腺細胞の極性, 甲状腺ホルモン分泌の重要な役割を果す. (1), (2), (3), (4)は甲状腺細胞増殖の, (5)は甲状腺ホルモン産生の, (6)は甲状腺ホルモン分泌の情報伝達機構を明らかにした.
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