研究概要 |
1)副甲状腺細胞からの副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌は、血清カルシウムによって主たる調節を受け、活性型ビタミンD_3(1α,25(OH)_2D_3)その他いくつかの因子により増減することが知られている。近年分泌のみならず、合成過程での調節も次第に明らかとなり、血清カルシウム、1α,25(OH)_2D_3濃度の変動により、副甲状腺内PTHmRNA量も変化することが明らかになっている。我々は、牛甲状腺初代培養率を確立し、上記事実を確認する一方、PTHの分泌調節にPTH自体の関与(オ-トフィ-ドバック)について検討した。牛PTH(1ー34)を用い、副甲状腺から分泌されるPTH量を牛PTH(1ー34)と交叉性を有しない抗体を用い、測定した。培養細胞からのPTH分泌量は、添加牛PTH(1ー34)濃度依存性に減少し、低カルシウム下のPTH分泌亢進状態にても、同様の抑制現象を認めた。PTH(1ー34)は、PTH(1ー84)と同等の生理活性を有することは周知の事実であり、今回我々の得た結果は、副甲状腺からのPTH(1ー84)分泌から肝臓、腎臓でのPTH(1ー34)の生成、標的臓器への作用、1α,25(OH)_2D_3の合成、血清カルシウム上昇、血清リン下降等の現象がフィ-ドバック機構と考えられてきたが、PTH(1ー34)自体にも副甲状腺ホルモン合成、分泌に関与するオ-トフィ-ドバック機構の存在を明らかにした。 2)ニワトリ単離十二指腸潅液流法を用いて、腸管カルシウム吸収に及ぼす種々因子の検討を行なってきたが、ソマトスタチン、ハイドロコ-チゾンが活性型ビタミンD_3の腸管カルシウムに抑制作用を発揮することを明らかにした。
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