| 研究概要 |
〔目的〕CRF及びACTH分泌及び合成の調節機構解明とCRF結合蛋白 (CRF-BP) の性質について検討した。〔方法〕1.Cushing病下垂体腺腫及び非腫瘍組織とラット下垂体前葉細胞単総培養後、各種試験を加え、POMCmRNAレベルを解析し、ACTH分泌との関連を検討した。2.ラットにインスリン低血糖刺激を行い、視床下部CRFと下垂体POMCmRNAレベル及びCRF、ACTH分泌への影響について検討した。3.ACTHによるCRF分泌のショートフィードバックの影響をみる為人及びラットにACTHを投与し血中CRF濃度の変動を調べた。4.人末梢血中に存在するCRF-BPの化学的性状を明らかにしCRF作用への影響を検討した。〔結果〕1.下垂体におけるACTH分泌とPOMC遺伝子発現にはCAMP系が重要な役割を果たしている。一方同じくACTH分泌促進効果をもつProtein kinaseC系物質はPOMC遺伝子発現にはほとんど影響しなかった。2.Cushing病下垂体腺腫のPOMCmRNAレベルはCRF刺激作用に対しては非腫瘍組織と同様の反応性を示すが糖質コルチコイドによる抑制には抵抗性を示した。3.インスリン低血糖刺激により、CRF,ACTH分泌のみならず視床下部CRHmRNA及びACTH,CRFの分泌、合成双方に作用することを示唆している。4.糖質コルチコイドによるロングフィードバックの影響がない時ACTHは視床下部に作用しCRF分泌を抑制する。5.人CRF-BPは分子量約3800でCRFと結合するとその活性を抑制する。これで妊娠末期に母体血中CRF濃度が著増するにもかかわらず、Cushing症候群にならないことの説明が可能となった。〔今後の計画〕1.CRF-BPの純化.2.CRF及びPOCgene regulationに及ぼすストレスの影響
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