研究概要 |
(1) 高カルシウム血症で死亡した食道癌患者より移植ヌードマウスにも高カルシウム血症を惹起する扁平上皮癌細胞株(EC-GI)を樹立し, この細胞がPTH様因子を産生していることを見いだした(文献1). (2) PTH様因子を産生する腫瘍細胞を検出するために, バイオアッセイに使用するROS/17.2細胞の再クローニングを行い, PTHに対して極めて高感度のバイオマッセイ法を確立した(文献2, 3). (3) 自血球増多症と高カルシウム血症を惹起するヒト扁平上皮癌細胞の産生する骨吸収促進因子がインターロイキン1α(IL-1α)であることを, 二種類の細胞株で証明した(文献4, 7). なおこのような腫瘍は本邦で多く認められ, 新しい傍腫瘍症候群であることを提唱している. (4) 破骨細胞刺激因子のひとつであるtumor necrosis factor alpha(TNF-α) が骨芽細胞様細胞に作用して, プロスタグランディンE2の産生を促進することを見い出した(文献5). (5) PTH様因子を産生する扁平上皮癌細胞株(EC-GI)がそのほかに, IL-1αをも産生することを, Northern blot hy bridization法で証明した(文献6). またさらにPTH様因子とし, 現在, 両骨吸収進因子がin vivoで高カルシウム血症を相乗的に起こす作用があるか否かを検討中である. (6) 現在, PTH様因子に対するモノクロナル抗体を作成中であり(PTH様因子の合成は50万円で依頼), 将来は担癌ヌードマウスに投与して, 高カルシウム血症が是正されるか否か, 検討する予定であります.
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