腎成長因子は多様な電荷を有する黄体化ホルモン (LH) の特殊なイソ体であることを明らかにした。腎成長因子/LHを豚下垂体より精製し、最終段階で等電点電気泳動をおこなったところ、豚LHは4つの画分にわかれたが、ex vivoのアッセイ糸で腎成長促進作用を示したのは1EF-fr2 (pI=10.28〜10.18) のみであった。この等電点電気泳動で得られた4つの画分を逆相HPLCで展開すると、いづれも同一の溶出パターンを示した。これはこれらの画分の電荷の差がアミノ酸構造の差によるものではなく、糖鎖構造の差によることを示唆しているものと我々は結論した。 In vitroでの腎成長因子アッセイではpIのひくいLHイソ体ほど活性が低い傾向があり、これは糖鎖構造 (特に末端のheterogeneity) と関連が示唆された。一方、ex vivoのアッセイ系でIEF-fr2のみ腎成長促進作用を示したが、その蛋白質一次構造、糖鎖構造が他の画分のものと特に異なるとの所見は得られなかった。EX vivoでの活性については生体内での代謝が活性の強弱に大きく影響する因子となり得る。今後各イソ体の代謝率について検討する必要があると考えている。
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