研究概要 |
1.抗原の準備; ヒト後眼窩結合織は入手困難で, ブタ後眼窩結合織及びヒト皮下結合織を用いた. 組織ホモジネート100,000g沈澱分画に対し, CHAPSO〔3-(3-Cholylamide)dimethyl ammonio-1-1 propane sulfonate〕10mM/Lの室温20分での膜蛋白可溶化効率は, 0.6%組織重量であった. 抗原はアフィーティーゲルへの固相化用, ゲル漏過分画用に分けて供した. 2.抗原の固相化; CNBr-activated Sepharose AB(Pharmacia社)膨潤ゲル10mlに対し, 1.4mg/ml濃度の抗原溶液20mlを用い, Pharmacia社の勧める方法に従って抗原をゲルに固相化した. 3.抗体の準備; バセドウ病患者血清94例を集め, この一部に33%飽和硫安沈澱法によりIgG粗精製を行った. IgG純度は71.5%であった. 4.抗体の精製; 2のアフィニティーカラムに粗精製IgGを流し, Pharmacia社の勧める方法に従って特異的に結合した抗体のみを溶出した. 精製抗体溶液は, polyethylene glycolを用いた透析膜法にて濃縮し, PD-10カラム(Pharmacia)社にて溶媒をPBSに置換した. 精製IgG回収率は0.13%粗IgGであった. 5.抗原の粗精製; 1の抗原をSephacry S-300(Pharmacia社)を用いたゲル漏過法にて分画し, 5つの蛋白ピークを得た. 6.抗原抗体反応の確認; enzyme linked immunosorbent assay及びOuchterlony法を行った. 5の各フラクションを抗原とした系では精製IgGを用いても特異的な反応は得られず, これ迄の他施設よりの報告と異なる結果であった. 目標とする抗原濃度は, 総膜蛋白濃度に対しかなり低いものと予測される. 本年度の実験計画である精製IgGを固相化したアフィニティーカラムによる抗原の精製が必須と思われる.
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