研究課題/領域番号 |
62570528
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
野中 共平 久留米大学, 医学部, 教授 (80028547)
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研究分担者 |
黒木 俊高 久留米大学, 医学部, 助手
広松 雄治 久留米大学, 医学部, 講師 (10201740)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | バセドウ病眼症 / 液性免疫 / ウェスタンブロッティング / 抗後腹膜結合織抗体 / 抗後眼窩結合織抗体 / 臓器交叉反応性 |
研究概要 |
バセドウ病眼症発現に関与する可能性のある液性免疫のモデルとして、未知の抗原抗体系を検索した。 抗原には、ヒト後腹膜結合織、後眼窩結合織、外眼筋、甲状腺、肝臓、脾臓及び心臓を用いた。抗体検索の対象には、血清、粗精製IgG及び後腹膜結合織100,000gベレット分画に対する抗体をアフィニティ-カラムで精製したIgGを用い、各抗原に対する反応の検出にはSDS・PAE法、ウェスタンブロッティング法を用いた。 バセドウ病眼症患者15例のうち2例に分子量54Kダルトンの後腹膜結合織膜抗原に対する自己抗体を検出した。この抗体は29Kダルトンの後眼窩結合織及び外眼筋膜抗原に交叉反応を示した。反応性は外眼筋においては弱かった。54Kダルトンの抗原及び他臓器の抗原とは交叉反応性を認めなかった。この反応系は、バセドウ病眼症を伴わない甲状腺疾患々者3例、正常人10例には認めなかった。 結論:1.後腹膜結合織及び後眼窩結合織には、各々同じ抗原性を持ち分子量の異なる2つの膜抗原が存在する。2.外眼筋には後眼窩結合織と同じ膜抗原が存在するがその量は微量である。3.これらの膜抗原は、コントロ-ルに供した他の臓器には存在しない。4.バセドウ病眼症患者血清中にはこれらの膜抗原に対する自己抗体が産生される場合がある。5.この自己抗体はこれ迄に報告されている抗線釈芽細胞抗体、抗外眼筋抗体、抗甲状腺抗体とは異なっている。6.この抗原抗体系の病因論的な意義は現時点では不明であるが、バセドウ病眼症発症を液性免疫により説明するよいモデルである。
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