研究概要 |
新生児ラット(1-2日令)の心房, および心室よりコラゲナーゼを用いて遊離心筋細胞を作製し, 20%牛胎児血清(FCS)を含むダルベッコ変法培地で培養した. 24時間後, FCSを含まない培地に置換して, 種々のステロイド, 甲状腺ホルモンを添加し, 更に2日間培養して, 細胞内と培地中の心房性Na利尿ペプチド(ANP)をRIAで測定した. 心房細胞内ANP含量はデキサメタゾン, テストステロン, および甲状腺ホルモン(T3)によって用量依存性に増加し, 同時に培地中のANP分泌も同様に増加した. 心室細胞内ANP含量は心房よりも少かったが, デキサメタゾン, テストステロン, T_3によってANP合成は著明に促進されて, 培地中へ分泌された. 特に心室でのデキサメタゾンの反応性は心房よりも大であった. 以上のことから, 新生児ラットでは心房, 心室ともにANPは合成, 分泌されるが, 心室では合成されると直ちに分泌されるというconstitutiveな分泌様式である. また, 心房, 心室でのANP合成は多彩なホルモン支配下にあり, 特に心室では糖質コルチコイドに対する感受性が強いことから, 組織特異性の相違が示唆された.
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