研究概要 |
EOL-1は好酸性白血病患者末梢血より世界で初めて樹立されたヒトの好酸球様細胞株である. EOL-1は解明の進んでいない好酸球の機能や分化に関し重要な研究材料を提供するものと期待される. 細胞膜に加えられた種々の刺激に対して反応し, 活性酸素を産生する能力は顆粒性白血球の主要な機能である. そこで我々はEOL-1の活性酸素産生能に関して, 感度の高いルミノール依存性ケミルミネッセンス(CL)法を用いて検討した. EOL-1は非特異的で強力な膜刺激物質であるフォルボールエステル(TPA)に対し長時間持続するCL反応を示した. このTPAにより誘発されるCL反応はEOL-1をインターフェロン(IFN)や腫瘍壊死因子(TNF)で数日間処理することにより著明に増強された. IFN-〓とTNFの効果は相乗的であり, 一方IFN-αAとTNFのそれは相加的であった. TPAで誘発されるEOL-1のCL反応はスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)によりほぼ完全に阻止されることからO<(1)2>の産生が必須であり, 好中球の場合とは異なる好酸球の特徴を示している. またIFN-〓, -αA, あるいはTNFで処理したEOL-1は細菌由来の遊走因子のアナログであるフォルミルメチオニルロイシルフェニルアラニン(fMLP)に対してもCL反応を示すようになった. この場合もIFN-〓とTNFの効果は相乗的であり, IFN-αAとTNFのそれは相加的であった. 細胞学的にはTNF処理によりEOL-1の好酸性顆粒産生が有意に増加し, IFN-〓はTNFのこの作用を促進した. 以上よりIFN-〓, IFN-αAあるいはTNFはEOL-1の活性酸素産生能を著明に増強すること, 特にTNFにはEOL-1の分化を誘導する作用があることが明らかになった.
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