研究概要 |
EoL-1は好酸球性白血病患者末梢血より世界で初めて樹立された好酸球様細胞株であり、ヒト好酸球の機能や分化の研究に対し有用な材料を提供すのものと期待される。種々の細胞膜刺激に対し反応して活性酸素を酸生する能力は顆粒性白血球の主要な分化機能である。そこで本研究で我々は主に活性酸素産生能を指標としてEoL-1の分化と活性化を解析して来た。活性酸素の測定には高感度のルミノール依存性化学発光を用いた。各種組換え型サイトカインを用いてEoL-1を5日間処理し、フォルボールエステル(TPA)により誘発される活性酸素産生に対する効果を検討したところIFN-γ,-αA及びTNFは単独で強い増強効果を示した。更にIFN-γとTNFには強い相乗効果があった。一方正常好酸球に対して活性化作用の報告されているIL-5及びGM-CSFはEoL-1に対し単独ではほとんど効果を示さなかった。しかしIL-5はIFN-γの作用を増強した。細胞学的にはTNF処理によりEoL-1の好酸性顆粒産生が増加し、IFN-γは、TNFの効果を増強した。またIFN-γ、-αAあるいはTNFで処理したEoL-1H細菌由来遊走因子のアナロブであるfMLPに対しても反応して活性酸素を産生するようになった。この場合もIFN-γとTNFは相乗効果を示した。TPAに対する細胞レセプターであるCキナーゼの量を^3H-PDBu結合法で、またfMLPに対する細胞膜レセプターを^3H-fMLP結合法で定量すると、EoL-1をIFN-γとTNFで5日間処理することにより前者は著明に増加しており、また後者も検出レベル以下の状態から正常白血球に近いレベルまで発現が誘導されていた。
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