本年度は、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のin vivoにおける生理的、薬理的効果について解析を試みた。3週令のBalb/CマウスにヒトリコンビナントG-CSF(hrG-CSF)を14日間皮下注射すると、マウス肝、脾は正常対照群に比べると明らかに腫大を示していた。これらのG-CSFに対する反応が肝、脾の中のどのような細胞によるのかを検討するため、それぞれの臓器の組織を検討した。腫大脾では正常脾に比べて、明らかに白血球をはじめとする造血細胞が増加していた。これに対し、腫大肝では多少の網内系細胞の増殖が見られたものの、造血細胞の増加は認められなかった。肝に対するG-CSFの作用がG-CSFによる直接作用であるかどうかを検討するため、G-CSFにより腫大を示した肝と正常対照肝よりRNAを抽出し、種々のチロシンキナーゼ遺伝子をプローブに用いて、低ストリンジェンシーのノーザンハイブリダイセーションを行った。腫大肝で正常肝に比べて明らかに発現量の亢進しているfpsとホモロジーを示すが異なる遺伝子転写物を同定した。現在、この遺伝子の特徴付けを行っている。
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