研究課題/領域番号 |
62570537
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本倉 徹 東京大学, 医学部(分), 助手 (00192823)
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研究分担者 |
五十嵐 徹也 東京大学, 医学部(分), 講師 (00134601)
松本 俊夫 東京大学, 医学部(分), 講師 (20157374)
渡辺 俊樹 癌研究会癌研究所, ウイルス腫瘍部, 研究員 (30182934)
高橋 俊二 東京大学, 医学部(分), 助手
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | 成人T細胞白血病 / 高カルシウム血症 / 副甲状腺ホルモン関連淡泊 |
研究概要 |
成人T細胞白血病(ATL)における副甲状腺ホルモン関連淡泊(PTHrP)の発現機構を明らかにすることを目的に、HTLV-1感染T細胞株MT-2および正常リンパ球を用いて、以下の検討を行なった。培養液中にTPAもしくはPHAを添加し、MT-2を培養したところ、TPAに体してのみPTHrPのmRNAの増幅がみられた。刺激1時間ですでに明らかになり、4時間でピ-クに達した。以後漸減し、24時間でほぼ刺激前の状態に戻った。こうした現象がこの細胞株に限られたものかどうかを検討する為、正常リンパ球におけるPTHrPの発現をTPAを用いて検討した。成人末梢血および崩帯血中のリンパ球では、TPA存在下に培養することで、その発現を検出することができた。これは、ATLでのPTHrPの発現が悪性化にともなう偶然の出来事ではなく、PTHrPを発現しうるリンパ球が悪性化にともないその発現を高めた可能性を示している。また、PTHrPがリンパ組織において何らかの役割を果たしていることを示唆している。さらに、PTHrPに対するTPAの効果は、cycloheximideで増強し、actinomycinDにより完全に抑制されることから、TPAは、淡泊合成を必要としない情報伝達系を介して、PTHrP遺伝子の転写活性を高めている可能性がある。また、TPAの刺激では、HTLV-Iの発現レベルには変化がみられず、ウイルスの発現機序と直接関連していないことが示唆された。今後、こうしたTPAにより活性を受ける情報伝達系の詳細を明らかにすることは、ATLの病態の分子機構を解明するとともに、固形腫瘍にともなう高カルシウム血症についても示唆を与えるものと思われる。
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