研究概要 |
総計499例の診断の確定した広義の不応生貧血症例の, 初診時変量と生存時間よりなる計90項目のデータを, 計算機可読のデータベースにした. 病型別では, 狭義の不応性貧血(PARA)200例, RAEB200例, 鉄芽球性貧血(PASA)99例であった. このデータベースに基づいて現在までに得られた結果は, 以下の通りである. 1.積極限法による全死亡の生存時間中央値は, PARA1305日, RAEB497日, PASA1791日であった. 2.白血病フリー生存時間は, 全ての病型で, 3000日以内だけで白血病への移行が認められ, 以後は平衡状態となった. 平衡状態での白血病フリーの率は, PARA80%, RAEB32%, PASA92%であった. 3.非白血化死亡の生存時間中央値は, PARA1669日, RAEB1063日, PASA2644日であった. 4.白血病化に対する危険因子を比例ハザードモデルにより解析した. 最適モデルの選択には, 赤池の情報量基準を用いた. 6受量モデルが最適モデルとなり, 危険因子は, 重みの大きい順に, RAEBである事, 顆粒球の顆粒異常あり, 男, 単核巨核球であり, 年令50才以上, 末梢血前骨髄球1%未満であった. この解析の全体としての有意水準は, 1.1×10^<-19>であった. 5.非白血化死亡に対する危険因子は, 重みの大きい順に, 末梢血中の後骨髄球1%以上, 50才以上, ヘモグロビン低値, 血小板数10万未満, 単核巨核球あり, 顆粒球の核異常ありの6変量であった. 有意水準は, 6.6×10^<-11>であった. 6.白血病化の危険の小さいPARAとPASAのみで同様の解析を行ったところ, 白血化の危険因子は, 骨髄中の骨髄芽球2%以上, 男, 顆粒球の顆粒異常の3変量, 非白血化死亡の危険因子は, 前出の全体としての非白血化死亡の解析と同一であった. 今後, 症状数の少ないPASAについてはさらに収集を続け, 他の病型は現有症例のうち, 生存中の症例の追跡調査を行い, さらに詳細なパラメトリックな解析を行っていく予定である.
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