研究概要 |
G-6-PD isozymeの研究により, 多くの骨髄増殖性患者は, 多能性幹細胞に異常のあることが証明されている. また, 急性リンパ性白血病(ALL)ではリンパ球系のみに異常があること, 急性骨髄白血病(AML)では多能性幹細胞に異常がある場合と, 顆粒球系のみに異常がある場合があり, 病因に多様性がありそうなことも報告されている. しかし, この方法は患者がG-6-PD isozymeのheterozygoteであることが不可欠であり, 我が国では検索不可能である. そこで, 私たちは造血コロニーの形態と染色体分析を同時に行う事により, 同様に血球系の腫瘍化の及んでいる範囲を検討する方法を開発した. この方法を用いれば, より多くの患者, より多くの疾患で腫瘍化の起源細胞を検索することができるばかりでなく, 2)病期の進行状況により, 種々のクローン(正常クローン, または異常クローン)がどのように増減するかを, 追跡検索することが可能である. 私たちは既に, 特発性骨髄線維症, 赤白血病, 慢性骨髄性白血病(CML), 慢性骨髄単球性白血病, 若年性慢性骨髄性白血病が, いずれも多能性幹細胞の異常に基く疾患で.あることを証明してきたが, 今年度には下記の事を証明した. 1.慢性骨髄性白血病で, 急性転化時に増殖しているクローンは多能性幹細胞由来であり, 赤芽球, 好塩気球, 好酸球, マクロファージなど, 種々の成熟血球に分化可能である. 2.Ph^1(+)ALL症例とPh^1(+)CMLのblastic crisis発症例との鑑別が可能である. (Ph^1(+)ALLでは, できた顆粒球系コロニー, 赤芽球コロニー, 巨核球コロニーにPh1染色体は見つからないが, Ph^1(+)CMLのblastic crisis発症例では, 全てのコロニーで, Ph1染色体が検出された). 3.小児科疾患であるTAM(transient abnormal myelopoiesis)の時に増殖しているクローンは, 腫瘍性に増殖している.
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