研究課題
一般研究(C)
赤血球膜異常症の発見と、膜蛋白特にspectrinを中心とするcytoskeleton病態の立場から、その分子異常の解析を行った。赤血球膜異常症の検索:本年度末現在に検索 (えた赤血球膜異常症は、先天性250例、後天性65例で、計315例である。内訳は、遺伝性球状赤血球症102例、遺伝性楕円赤血球症49例、遺伝性有口赤血球症33例、膜脂質異常症28例、その他であった。このうち、注目すべき諸研究項目を以下にあげる。成績: (1) Spectrin重合能異常を示すHE家系:HE [Spα^<I/74>] ;Spectrinは、dimer (D:αβ) →tetramer (T:α_2β_2) として生理的に機能しているが、このD→Tconversion異常を発見しえた。本家系3症例でこのSpα^<I/80>に由来すると考えられるSpα^<I/74>が検出され、HE [Spα^<I/74>] と判明した。(2) 膜蛋白分画4.2欠損症の病態研究;本症は日本人に特異的と考えられるに至った疾患で、今年度に4症例を発見し、検索に供した。この膜蛋白分画4.2欠損症は中等度の溶血性貧血を呈し、膜輸送能の中等度亢進、変形能の著しい低下を認め、臨床的に重要な疾患である。抗4.2抗体によるimmunoblot法では、免疫化学的に本蛋白の存在と異常分画を発見した。(3) 遺伝性有口赤血球症 (HSt) の臨床血液学的、生化学的病態検索;本疾患症例33例の検索では、3群の病型が存在し、第1群 (hydrocytosis) はNainflux膜転入能の異常亢進群で、第2群はNa転出能亢進を特徴とする群で、一部の症例では典型的なdesiccytosis (dehydrocytosis) を示し、第3群は、著明な有口赤血球症を呈しながら、膜輸送能は正常成績を示した。
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