研究課題
一般研究(C)
HEL細胞をTPA(25ng/ml)の存在下24時間培養、培地交換後、TPAーフリーの培地でさらに44時間培養した後の細胞では、GPIbの発現を確認したので、TPAーフリー培地での24時間培養後の細胞から、型の如く全RNA画分、ついでpoly(A)RNAを抽出し、2本鎖cDNAを作成した。これをλgt10のベクターに挿入し、cDNAライブラリーを作成した。既に報告されたデータをもとに合成プローブを作成して使用し、5個のpositiveなクローン(0.7ー1.7kb)を得て、pUC18を用いたsubcloningおよびsequenceを施行したが、いずれも陽性の成績は得られなかった。無核の血小板においても若干の蛋白合成が行なわれているとの報告があり、大量の血小板を収集して、これからmRNAを抽出して、同様にcDNAクローニングを試みたが、成功しなかった。GPIbα鎖のN末端側の40kDaのfragment内のSーSloop付近にトロンビン結合部位の存在が想定されてきたが、この解明のため、Lopezらの報告に基ずいてこの領域(アミノ酸番号#181ー306)の11ー28個のアミノ酸残基から成る11種のペプチドを合成し、ヒト洗浄血小板を0.02U/mlトロンビンで刺激した時、これらのペプチドの凝集抑制活性を測定した。ペプチドFT25(#216ー240の25個のアミノ酸残基より成る、以上同様)は最大の抑制効果(IC_<50>=12μM)を示した。この領域の他のペプチドDK28(#235ー262)、DD26(#249ー274)、GA24(#268ー291)のIC_<50>はそれぞれ68、73、115μMであった。他方、この領域外のペプチド、例えばEP26(#181ー206)、ETP(281ー306)などのIC_<50>は500μM以上であった。しかし、この領域内のアミノ酸残基数が20個以下のペプチドはVK18(#236ー253)も含めて、抑制活性を示さなかった。トロンビンのGPIb上の結合部位はFT25を中心にして、広い部分にわたっているようであり、しかもその生理活性の発現にはアミノ酸残基数にして24個以上を要するように考えられた。
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