研究概要 |
I.ポリアミン合成阻害剤(DFMO)の大腸発癌抑制効果 方法:ウイスター系ラット40匹を4群に分類, I群は1%DFMO溶液を10週間経口投与しDMH20mg/kgを週に1度10週間皮下投与(n=10), II群は水道水を摂取させDMHを同量投与(n=10), III群は水道水を摂取させ蒸留水を週1度, 10週間皮下投与(n=10), IV群は1%DFMO溶液を7週間投与し蒸留水をIII群と同様に投与(n=10)した. 全例14週目に屠殺, 病理組織学的に検討し, 大腸粘膜の組織内ポリアミン量を測定した. 結果: 腫瘍の発生率はI群は4/10匹(40%), II群8/10匹(80%), III群とIV群に腫瘍の発生を認めなかった. 1匹当りの腫瘍発生数はI群0.5個II群2.4個であった. 大腸粘膜の組織内ポリアミンはPutrescineの低下が著明で, Spermidine, Spermineはやや低値を示した. 以上よりポリアミン合成阻害剤(DFMO)は大腸腫瘍の発生を抑制すること示唆した. II.ヒト胃癌株に対する制癌剤とCa拮抗剤併用効果 方法: ヌードマウス26匹を4群に分類し, 胃癌株KatoIIIを背部皮下に移植し, 腫瘍が100〜300mgに腫大した時点で制癌剤UFTとCa拮抗剤Verapamilを投与した. I群3%アラビアゴム溶液を経口投与(n=5), II群はUFT64.8mg/kgを10回経口投与(n=7), III群UFTにVerapamil 10mg/kgを皮下投与(n=7), 第IV群はVerapamil を4回皮下投与(n=7)した. 12日目に屠殺し病理組織学的, Flowcytometryによる変化をみた. 結果: UFT投与のII群は9日目からCa拮抗剤併用のIII群との間に抗腫瘍効果を認め, III群がまさっていた. FlowcytometryによるCell Cycleには著明な変化を示さなかった. 以上よりCa拮抗剤併用は制癌効果を増強させた.
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