研究分担者 |
畠山 卓弥 東京大学, 医学部(病), 医員
大城 秀己 東京大学, 医学部(病), 医員
小林 一博 東京大学, 医学部(病), 医員 (80205450)
奥村 稔 東京大学, 医学部(病), 助手 (50201281)
永嶌 嘉嗣 東京大学, 医学部(病), 助手 (80198324)
|
研究概要 |
閉塞性動脈硬化症,大動脈層の手術は手術手伎。術前術後管理の進歩などにより比較的安全におこなえるようになったというものの一般の外科手術にくらべればまだ危険性は高い。この理由としてこれらの患者が高率に虚血性心疾患を合併すること,血行遮断に伴う血行動態の変動が悪影響を与えていることなどが示唆されていたが,実験的裏付けはなかった。我々はこれを証明するため冠動脈狭窄犬を作成し大動脈遮断を負荷し,血行動態の変動を記録した。冠動脈の二枝に狭窄を作成し,腹部大動脈を遮断したが,正常群狭窄群とも血行動態はほとんど変化せず有意差が出なかった。そこで下肢血管床を拡大し血行動態の変動を大きくするため,PGE1を用いたがやはり大きな差はなかった。最終年度は更に大きな血行動態変動を得るため,胸部下行大動脈遮断を負荷した。正常群と狭窄群の間で血行動態の諸指標に有意差はないものの,遮断及び遮断解除前後で興味深い変化を示した。すなわち正常群では遮断による左室仕事量の増加は小さく有意差を認めないのに対し,狭窄群では有意に増加していた。遮断解除時の変化にも差があり正常群の変動は小さいのに対し、狭窄群では現象が著しかった。これらの現象は今までに臨床的に報告されてきたこと,即ち冠動脈狭窄を有する場合遮断中に左房圧が上昇し心筋虚血が増悪するなどの変化とはやや異なるように思われた。我々の実験モデルはヒトの慢性の冠動脈狭窄とは異なるので今回の実験結果の持つ意味も不明の部分もあるが,今度は臨床的検討を重ねたい。
|