研究課題/領域番号 |
62570563
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
中村 達 浜松医科大学, 医学部, 講師 (00090027)
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研究分担者 |
山下 豊 浜松ホトニクス, KK.研究部
阪口 周吉 浜松医科大学, 医学部, 副学長 (30107809)
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キーワード | 肝腫瘍 / レーザ / 光透過性 / Dosimetry |
研究概要 |
はじめに) 昭和62年度の研究において肝疾患モデルにおける肝組織の光透過性はヒト肝及び肝腫瘍の光透過性と同様の傾向を示したが、昭和63年度は各実験群のnを増やすと共に、実験モデルを用いて、赤血球による影響を排除した後、線維組織による光透過性への影響を観察した。次に透過性を考慮した光化学治療の実験を行った。対象および方法)(1)各種肝疾患の肝組織における光透過性は平行光が入射して37%まで減衰する距離δを比較した。各群n=6〜8を作成した。 (2)赤血球の光透過性に及ぼす影響をみるため、ヘパリン注射後、肝を門脈よりヘパリン生食水で灌流し、正常肝及び肝硬変について光透過性を測定した。 (3)670nm光が630nm光より透過性がよいことから、水溶性pheophorbitha(PPa)を投与し、家兎肝に移植されたVX-2腫瘍にNd-YAGレーザー200J/Cm2を照射した。PPaは1mg/kgを静注投与群、動注投与(経肝動脈)群及び非投与群(コントロール)に分けた。 結果)実験(1)血流、ヘマトクリット値に差がないラット肝疾患モデルにおいて肝組織の光透過性はヒト肝の光透過性と同様の傾向を示し、670nmが腫瘍で最も透過がよかった。 実験)(2)脱血灌流処置を行った正常肝及び肝硬変は630、670nm光で、in viroでえられたδ値を約4倍の値を示し、赤血球の透過に及ぼす影響が多大であること、及び硬変肝は正常肝より強く透過を示した。 実験(3)コントロール群では肝に全く壊死像はみられなかった。PPa静注投与群では肝実質への照射による影響が大きく、広汎に壊死を生じた。肝動脈動注群では径約5mmの腫瘍のみが光化学治療の効果を示し、腫瘍周囲組織には殆ど壊死がみられなかった。 結論)本研究により腫瘍の光透過性は肝組織より有意に強く、肝腫瘍の光化学治療が可能であることが判明した。肝腫瘍及び各種肝疾患の光過性についての研究は本研究以外にはない。
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