研究概要 |
エンドトキシンショックの原因であるダラム陰性菌由来のリポポリサッカライド(LPS)のO特異多糖, Rコア多糖および, リピドA部分に対するモノクローナル抗体(mAb)を作製した. 抗OmAbの作製にはサルモネラミネンタ由来のLPS, 抗RmAbには大腸菌変異株J5, 抗リピドAmAbには合成リピドAをそれぞれ免疫原として, Balb/cマウスにフロイド, コンプリート・アジュバンドと伴に腹腔内投与し, 得られた脾臓細胞をポリエチレン・グリコール法にて, マウス骨髄腫細胞株, SP2/O・Ag14を融合させた. 抗RmAbおよび抗リピドAmAbの作製には従来の方法を応用し, 高分子蛋白であるKeyhole limpet hemocyaninと結合させた形で免疫した. その結果, 抗OmAb(IgG3), 抗RmAb(IgG1)および抗リピドAmAb(IgG3)が確立した. 各mAbの種々のLPSに対する交差反応性および抗体価の測定は酵素免疫測定法(ELISA法)にて行った. その結果(1)抗OmAbは同種菌由来のLPSのみと反応し, 他のLPSとはほとんど交差反応性を示さなかった. (2)抗RmAbはクレブジェラニューモニエ由来のLPSを除く4種のLPSを除く4種のLPSと交差反応性を示し, その反応性はほぼ同等であった. (3)抗リピドAmAbは広い交差反応性を示し, 本実験に用いた5種のLPSすべてと反応し, 特にリピドA自身に対する反応性はその100倍にも達した. 今後, 確立した各mAbを用いて, マウスおよび家兎に誘発したエンドトキシン血症に対する受動免疫の有効性を検討するとともに, LPSの示す種々の生物活性に対する各mAbの効果を調べ, エンドトキシン中和機序に関して研究する.
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