研究課題/領域番号 |
62570573
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
難波 雄哉 長崎大学, 医学部, 教授 (70039494)
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研究分担者 |
村上 隆一 長崎大学, 医学部附属病院, 医員
常多 勝巳 長崎大学, 医学部, 助教授 (40172043)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 異種皮膚移植 / 同種皮膚移植 / 上皮化促進効果 |
研究概要 |
目的:異種皮膚を全層皮膚欠損創に適応した場合に、異種皮膚の存在が自家皮膚の表皮形成能にどのような影響を及ぼすかを検索した。 実験材料及び方法:実験1;一般のマウスに比べて創収縮の影響 少ないtight skin mouseを用いて、異種皮膚を自家皮膚と混合植皮した場合の創面の経時的変化を観察した。実験2;ハートレー系モルモットを用い、自家異種混合植皮の混合比を変えた場合の創面の状態と創面積の経時的変化を対照群と比較した。実験3;異種皮膚の脱落後の創面の状態と自家表皮形成について、同種植皮を行なった場合と肉眼的、組織学的に比較検討した 結果及び知見:実験1では、創閉鎖時の創面積は対照群である自家植皮のみ行なった群と有意差は認められなかった。また異種皮膚脱落後の創面には異種真皮膠原線維の残存が確認された。実験2では、混合比をかえることにより異種植皮片の面積の広い部分では創閉鎖の遅れが認められた。また異種皮膚を適応することにより創収縮は抑制されるものの、明かな表皮形成の促進は認められなかった。実験3では、同種植皮の場合には真皮膠原線維が比較的その構造を保った状態で長期間残存し、その上に自家表皮形成の進行が認められた。異種植皮脱落後の創面においても真皮膠原線維の残存が確認されたが、同種植皮の場合に比べて早期に肉芽内に吸収され、また自家表皮形成が明らかに進行している所見は得られなかった。以上の実験結果及び文献的考察より残存真皮膠原線維が自家表皮形成の足場として重要な役割を果たしており、異種皮膚移植を適応した場合に明かな自家表皮形成促進効果が認められないのは、この真皮膠原線維の効果が維持されないためと考えられた。したがって異種自家混合植皮を臨床的に深達性熱傷の治療に用いる場合には個々の異種皮膚の大きさは同種自家混合植皮の場合ほどには大きくできないものと思われた。
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